この小説には、派手な看板などない「時代食堂」という食堂が出てきます。
この店のお客様は「特別メニュー」をオーダーしてそれを食べて帰ります。
料理は、佇まい同様派手ではない、少し前の時代の食べ物です。
お客様は、それを食して自然としばしの郷愁に浸って帰っていきます。
主人公はある日、コック(多分オーナーシェフ)になぜこのような店を出したのかを聞きます。
コックは、「生きるために食べていること」を思い出してもらいたいのだと言います。
現代はそれを忘れて「うまいだのまずいだの」と言って食べ散らかしているのだと。
主人公もそれと同じような感慨を抱いているのですが、私は自分の食べてきたものもそうかもしれませんが、人生を食い散らかしてきたなと感じました。
丁寧に味わうことなく、その時代時代に出会った人たちとの関係も、おざなりにして、食い散らかしてきたような、そんなことを思ったのでした。

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